きりとりせん

Let's write what we catched with kiritorisen.

寓話

ドウニモシナイ

神戸南京町、5月4日 一日に昼と夜があるように この世界に光と闇があるように 人にも 祝福されているところと 膿みのようなところとが あるのならその 夜、闇、膿み、に 立ち向かったり それらを どうにかしようとしてはいけないと 昼と夜の境目のような時間…

寓話 / あたたかな島

わたしは小さな豆粒のような大きさなので 眺められる範囲というのも 限られていて すぐ先の風景は見えるけれど 霧の向こうになにがあるかは 近づかないと見えない。だから いままでずっと 見えていなかったが しかし どうもこの旅では わたしは 3つの島を順…

寓話 / 説明できない

男は 仕事を変えることにした。 理由は 特にない。 理由と言えるような 理由はなかった。これまでの仕事のことは とても大事に思っている。なにかを変えるとき なにかをやめるとき 理由はいるのかどうか?しかし男は はっきりと 変わりたかった。だれにも そ…

一本の樹

あの世に生えている一本の樹、それがこの世だと思う。樹のてっぺんは 切り株の断面のような円状の平面になっている。そしてこんもりと葉が覆い繁れば できあがるであろう いわゆるまるい樹の姿、のように まるく、ドーム状に、 美しい蓋が 切り株の断面にか…

太陽と月

神は その人その人に あるものと ないものを 等しく つくった。あるものは太陽、 ないものは月 をつかって、その人が 地上にあらわれるときに その人を照らすようにして。